株式会社Y’zコーポレーション

適用の例(一)制度を読む

二頁で述べた三つの段のうち、第一段です。道路に接するのり面と斜面を例にとります。

どこを先に見るか

道路土工構造物点検要領(国土交通省、令和5年)は、優先順位を設定して計画を立てるよう求め、考慮すべき要素を挙げています。既存資料の調査や現地踏査の結果、構造物の重要度、被災の履歴、その道路の社会的な影響の四つです。

何をもって高いとするかは、これらを踏まえて管理者が判断します。

なお、この要領が適用されるのは国が管理する道路です。都道府県や市町村が管理する道路については、それぞれの管理者が実情に応じた方法を定めます。

どの手段で観察するか

要領は、できる限り定量的に観察ができる手段を選ぶこと、単一の方法によらず組み合わせることが有効だとしています。どの箇所にどの手段を用いるかは、現場に委ねています。

その余地は、新しい手段にも開かれています。要領は、新たな点検技術の開発動向を収集し、合理化できる手法と判断される場合には採用してもよい、としています。

いつ観察を終えるか

要領は、終える道筋を二つ定めています。

終了の要件 条件
判定区分を見直す 観察の結果、判定区分Ⅰ相当と診断できる場合
経過観察そのものを終える 対策等を講じない場合でも、定期的な観察が必要ないと判断できる場合

いずれも、それまでの記録の保管が条件です。終えるためには、記録が要ります。

委ねられていること

決めること 制度が定めていること 現場に委ねられていること
どこを先に見るか 考慮すべき四つの要素 要素の重みづけ
どの手段で観察するか 定量的に、組み合わせて どの箇所に、どの手段を
いつ観察を終えるか 二つの終了の要件と、記録の保管 必要ないと判断できるか

委ねているのは、地形も、地質も、管理の体制も、地域によって違うからです。

要求を、条件に置き換える

委ねられた判断をするには、制度の要求を、区域ごとに判定できる条件に置き換える必要があります。定量的とは、どの程度の変位を、どの間隔で捉えることか。組み合わせるとは、何と何を、どういう関係で置くことか。

その置き換えを用意することが、管理者の判断を支えることになります。置き換え方は、対象と地域によって変わります。同じ要求でも、山地と平地では、満たす条件が違います。

置き換えた条件に照らして、手段が返せるかどうかを調べる。それが第二段です。