限られた体制で、どこを選ぶか
これまでと、これから
インフラの維持管理は、現地で確かめることを積み重ねて成り立ってきました。近年は、ドローンや各種の計測器も加わっています。その積み重ねが、いまの安全を支えています。
その一方で、確かめる側の体制をどう保つかは、これからの課題です。
斜面に関わる規模(例)
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721,014区域
土砂災害警戒区域
全国。うち特別警戒区域が621,287区域
令和8年6月末
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73,383km
緊急輸送道路
地方公共団体が管理するもの
令和6年3月末
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53%
道路の特定土工構造物
国土交通省管理分。判定を受けた施設のうち「経過観察段階」
令和6年度の道路メンテナンス年報
指定や管理の主体は、それぞれ異なります。鉄道、港湾、ダム、処分場にも、それぞれ相応の規模があります。いずれも時点により変動する値です。この規模を、限られた体制で扱うことになります。
生産年齢人口の減少は続き、土木部門の職員数も、市町村を中心に減少が続いているとされています。
優先順位は、制度が求めている
制度にも明記されています
ここでは二つを挙げます。同趣旨の記述は、分野ごとの計画や指針にもあります。
| 典拠 | 記載内容 |
|---|---|
| 国土強靱化地域計画策定ガイドライン | 一年間で取り組める内容には限りがある。その制約の中で最大限の効果を上げる |
| 道路土工構造物点検要領 | 単に延長を分割して順次点検するのではなく、優先度を設定して計画する |
資源の制約のもとで優先順位をつけることは、現場の工夫にとどまりません。制度が求めていることです。
難しいのは、決めた理由の説明
その工夫は、すでに現場で重ねられています。難しいのは、決めることより、決めた理由を説明できるようにしておくことです。
なぜこの箇所を先にしたのか。なぜあの箇所は今年でなくてよいのか。そうした説明が求められる場面も、今後はありえます。
委ねられているのは、どの分野も同じ
五つを挙げます。ほかの分野でも、同じことが起きています。
| 分野 | 制度が定めていること | 現場に委ねられていること |
|---|---|---|
| 道路の土工構造物・自然斜面 | 都道府県管理の道路に国の要領は及ばない。優先度の設定は求められている | 何をもって優先とするか。どの手段で観察するか |
| 鉄道の土工 | 技術基準は性能規定。健全度B相当は「必要に応じた監視等の措置」 | どの手段で監視するか |
| 港湾施設 | 点検診断は原則五年以内。劣化度に「性能が低下している可能性がある状態」の段階 | その段階で何をするか |
| ダムの貯水池周辺斜面 | 衛星による変動領域の抽出のマニュアルを公表。最小検出変位量は「不明」と記載 | 何がどこまで見えるかの見極め |
| 治山(山地災害危険地区) | 地形測量の手法として衛星SARを明示。経過観察へのリモートセンシングの活用を推奨 | どの場面でどの手法を使うか |
図は横にスクロールできます。
制度が手段を特定しないのは、対象ごとに条件が違うからです。委ねられた側には、選ぶ余地と、選んだ理由を説明する場面が生まれます。
目指していること
行かない判断の、根拠を残す
| 箇所 | 記録の残り方 |
|---|---|
| 見に行った箇所 | 点検の記録として、詳しく残されてきた |
| 行かないと判断した箇所 | その判断の根拠をどう残すかは、これからの課題 |
どこに行くかを決めるとは、行かない箇所を選ぶことでもあります。
当社が目指すのは、どこに行き、どこに行かないかという判断を、後から確かめられる形で残せるよう、支えることです。分野を問いません。
結果を、ご自身で読めるように
記録が残れば、翌年に検証できます。何年か積み重なれば、どの判断が正しかったかが分かります。判断の質は、その積み重ねでしか上がりません。
ただし、その積み重ねが外部の事業者の側にだけ溜まるのでは、意味がありません。とくに、地面の動きを測る技術は、いま速く動いています。衛星も、機器も、解析の手法も更新されます。新しくなったという情報と、この現場で使えるという情報は、別のものです。
現場に即した性能と制約、そして結果の解釈のしかたを、管理者ご自身が理解しておく。当社は、そのための説明をあわせてお渡しします。
当社について
決めるのは、管理者です。当社がするのは、その判断に必要な材料を、そのまま持ち込める形で出すことです。
次の頁で、その考え方と、それを支えるものを述べます。三頁からは、道路ののり面と斜面に当てはめた例を示します。